十数年前、車で四国八十八ケ所を回ったのが、つい昨日のことのように思い出される。年をとった勢かも知れないが、今になって思えば、あの時思い立って強行してよかった気がする。
それまで、いろいろ空海関係の書籍を読んで「空海」さんは選ばれた人であり、並々ならぬ才知と努力を惜しまぬ人で有ることを知って、一度は「空海」さんが開いた四国八十八ケ所を回って見ようという気持ちを温めていた。
密教を極めることは、凡夫である我々には難しいが、無理な修行や荒行をしなくても自然体で生きなさいと、説いておられるように思う。自然を愛で、また人を愛でれば、この世は決して苦ばかりの世界ではないだろう。とらわれない心(空)を持てば人は幸せを手に入れることができるような気がする。
空海さんはたくさんの著述を残しておられる。その中での好きな文言の一つで、これを読むと自己肯定感が湧いてくるような気がする。
無量の福智は求めざるに
自(おのずか)ら備(そな)わり、無辺の通力
は営まざるに本(もと)より得たり。
かぎりない幸せと智慧は、
求めなくても自身に自然にあるもので、
途方もない不思議な力は、
わざわざそうしようと思わなくても
既に得ているのです。