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経常収支から見た現在の日本

最近、輸入資源価格(原油からコーン・大豆)の高騰や円安の影響もあってガソリンを始め食料品価格がじわじわと上昇している。現在の日本は輸入資源価格が上昇し円安になると貿易赤字になりやすい体質になっている。

貿易赤字になるとメディアが「大変だ!」とすぐに騒ぎ立てるので、国民は貿易赤字の言葉を見ると日本が貧しくなってしまうという先入観を抱いてしまいがちだ。また、円安に対しては輸出企業の利益が増えるという報道に洗脳されて日本にとってプラスだ、円高はマイナスだと思いこんでいる。

しかし、今の日本は過つての加工貿易国(懐かしい熟語)でも輸出立国でもなくなっている。日本は投資(海外の債券利子・株式配当金等の証券投資収益と日本企業の海外子会社からの配当金等を計上する直接投資収益)で多額の黒字を稼ぎ出す国家に変貌を遂げ、1億2千万人の人口を抱える内需型経済に依存する国になっている。

この状況を広く国民に理解してもらう努力を、政府・マスコミは怠ってはならないと思う。

https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/bpgaiyou2021half.gif

財務省 国際収支の推移より

第一次所得収支:日本人(日本企業、日本政府などを含む)が外国から受け取った利子や配当などから、日本人が外国に支払った利子や配当などを差し引いた額。債券利子・株式配当金を計上する証券投資収益と日本企業の海外子会社からの配当金等を計上する直接投資収益を集計したもの。

サービス収支:外国人旅行客が日本で使った文化・娯楽費、宿泊料、飲食代、通信費などから、日本人旅行客が海外で使った費用を差し引いたものです。特許料や飛行機のチケット代なども含まれる。

 

グラフを一べつしてすぐにわかることは、

 1996年から2020年まで一貫して日本は経常収支全体では常に黒字を継続し続けていることです。思い返すと、震災発生の年である2011年から貿易収支の赤字が拡大し始め、にわかに日本の『稼ぐ力』がどうなっているかに注目が集まり始めました。

 これは原発停止による石油、石炭等の鉱物性燃料輸入の大幅な増加と世界的な原油価格の高騰という要因によるものです。

また、サービス収支を見ると、殆どの期間が赤字の状態です。「観光立国でインバウンド消費を呼び込む」なんて言ってもサービス収支が黒字化するほどの効果は期待できません。現状の実態(数字)を知らない政治家のパフォーマンスです。(観光産業は大歓迎でしょうが?)

https://japanhighgrowthinstitute.com/wp-content/uploads/2017/04/151f0496f62099713cf0960a44a270a8.png

財務省  統計より

 2015年末の日本企業や政府、個人が海外に持つ対外資産残高は約949兆円です。これも過去最高を記録しています。資産から負債を引いた対外純資産は25年連続で世界一位です。

 もちろん、稼いだ利益を日本国内ではなく海外に投資しなければならない状況は、国内市場に魅力がないからとの見方もできますが、対外純資産とは日本が世界中に持つ財産な訳であり、それらの資産が生み出すキャッシュフローが日本経済を極めて安定的に潤し続けていることもまた事実なのです。

現状、日本の家計は、金融資産1700兆円というとてつもなく強力な兵器をまだまだうまく活用できていません。たとえば、この1700兆円を運用したとして、平均運用収益が1%上昇すれば、年間17兆円もの収益が家計に発生することになるのです。

 しかし、現状はタンス預金のまま手付かずで放置していたり、金利ゼロのまま銀行預金にしてただ眠らせているだけというケースがまだまだ多いのです。

経常収支の推移から読み解く有望な投資先 - 日本高度成長研究所(参照)

令和3年上半期中 国際収支状況(速報)の概要 : 財務省(参照)