菅首相は18日の施政方針演説で、すべての新車販売を電動車へと切り替える時期を「2035年まで」と明言した。これは、2050年に「温暖化ガス排出量実質ゼロ」にするとした政府目標にリンクした方針であることは間違いない。
自家用車に限定すると、平均買い替え年数を10年として電気自動車(EV)にすべてが切り替わるのが2045年頃ということになる。今から25年後ということになる。そのころまでには科学技術の発展と再生可能エネルギー(風力・太陽光発電等)での発電構成率が上昇して、電気自動車への充電電力供給は発電時のCO2排出量に関して何ら問題が無い状況になっているかも知れない。
しかし、現在の電力供給の状況が変わらない場合には、電気自動車への転換によって充電電力供給が大幅に増加して発電時のCO2排出量を勘案すると、CO2排出量がかえって増えてしまうことになりかねない。
電気自動車は確かに走行時にはCO2排出量ゼロだが、充電時の電力供給の発電元が何であるかによっては、決してCO2排出量ゼロでは無いことを忘れてはならないと思う。これは、燃料電池自動車(FCV)の燃料である水素も生産時に大量の電力を必要とすることから同じことがいえる。
電気自動車への移行は、避けて通れない時代になっていると思われるが、充電電力の供給インフラの方も同時にCO2排出量ゼロ構成が取れるように進めて行く必要が大だと思う。
(優秀な政治家や官僚は、抜け目なく十分考えておられることと思うが?)